私も毎回楽しみにして聞いているポッドキャスト「バイリンガルニュース」の2月16日付のエピソードでは、小説を読むという体験が日常生活にどう影響するかについての研究が議論されました:
論文は、イギリスのダラム大学が1500人以上を対象に行った調査をもとにしたものです(これは、タイトルの"Uncharted features and dynamics of reading: Voices, characters, and crossing of experiences"を検索ワードにしてサーチすれば読めます)。
回答者の1/5が、小説を読了して登場人物の性格や言動が実生活に入り込んでくるのを経験したと答えています。とりわけ一人称で書かれた作品の場合に、この傾向は強くなります。また、読書中に登場人物の声が聞こえる感じがすると答えた回答者が半数おり、また、場面を視覚的に想像したり、他の感覚器官が刺激される経験をすると答えた人も半数近くいました。
小説を読むということは、作品に描かれている世界を頭の中で再現して、登場人物と交わることなのです。
小説を読むときには、視覚をはじめさまざまな感覚器官を働かせ、キャラクターを頭の中で思い描き、作品に描かれている世界の構造を理解して、そこに入り込み、さまざまな出来事や感情を体験します。そこで出会う言葉たちも、場面や情動とともに読み手の心に刻まれるでしょう。